鼠径ヘルニア

鼠径(そけい)ヘルニアについて

〜足のつけ根のふくらみ、気になっていませんか?〜

足のつけ根がふくらんできた」このような症状に心当たりはありませんか?それは鼠径(そけい)ヘルニアという病気かもしれません。

そけいヘルニアとは、腹膜や腸の一部が、そけい部の筋膜の間などから皮膚の下に出てくる病気です。一般に脱腸(だっちょう)とも呼ばれています。「そけい部」とは、鼠径部(足の付け根の部分)のことをいい、「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態をいいます。
そけいヘルニアは乳幼児から高齢者まで幅広く起こりうる病気です。乳幼児の場合は先天的な要因がほとんどですが、成人の場合は身体の組織が弱くなることが主な要因とされます。
中年以上の男性に多く見られ、立ち仕事をしている人や便秘症・肥満気味の人が多いとされています。
陰嚢の膨らみで気づかれることもあり「玉が大きくなった!」と訴えて来院される方もいらっしゃいます。

よくある症状

  • 「足の付け根」がぽこっとふくらむ
  • 長時間立っていると出てくる
  • 横になるとふくらみが引っ込む
  • 鼠径部の圧迫感や違和感、軽い痛み
大腸がんのイラスト

危険な症状嵌頓(かんとん)状態

ヘルニアで脱出した内容物が、元の位置に戻らなくなった状態になってしまいます。この状態を嵌頓(かんとん)状態といいます。

そけいヘルニアを放置していると、この嵌頓ヘルニアになってしまう危険性(年間約1%)があります。腸が嵌頓してしまうと、腸の中を食べ物が流れていかなくなってしまい腸閉塞を起こします。また、しめつけられた腸に血液が流れなくなり、腸の組織が死んでしまい(壊死)、腸内の細菌が腹腔内に漏れだして、腹膜炎に至り、命に関わる場合があります。
ヘルニア嵌頓は、いつ発生するのか予想できません。確立された予防法もありません。嵌頓が起きた場合には緊急手術が必要になります。腸の壊死があった場合には腸を切除しなくてはならないこともあり、長期の入院治療が必要になります。ヘルニアが戻らない時またはヘルニアの痛みが強い時にはすぐに病院を受診してください。

鼠径ヘルニアの治療は手術です

自然に治ることはありません。根本的に治すには手術が必要です

笹生病院では、お身体の状態に合わせて以下の2つの術式に対応しています。

腹腔鏡下手術(内視鏡による手術)
  • 傷が小さく、早期の社会復帰が可能
  • 比較的若い方や再発例に向いています
  • メッシュをお腹の内側から当てて、ヘルニアの原因となる穴をふさぎます。
前方アプローチ(開腹)
  • 局所麻酔で対応可能
  • 高齢者や持病のある方に安全
  • 豊富な実績と信頼ある手術法
  • 人工物であるメッシュを使用したくない方にはメッシュを使用せずに、修復します。

入院は1〜2泊が基本です。(日帰り手術が多くのクリニックで実施されておりますが、当院では患者様の安全面を考慮し、基本的には入院での治療を勧めております)

メッシュでヘルニアの穴を塞ぎます

笹生病院 鼠径ヘルニア治療の特徴

  • 西宮・芦屋エリアで30年以上の年月を過ごし、数千件の治療実績があります。
  • 経験豊富な外科専門医が担当します(内視鏡技術認定医在籍)
  • お一人おひとりに合わせた丁寧な術式選択

手術にかかる費用について

鼠径ヘルニアの手術は健康保険が適用されます。
ご年齢や保険の種類によって自己負担額は異なりますが、目安として以下のような費用となります。

費用の目安
(腹腔鏡手術・2泊3日ご入院の場合)
金額(税込)
後期高齢者など1割負担の方 約5万円
3割負担の方注1) 約9万円

注1) 70歳未満自己負担区分(ウ)適用の場合低所得区分の方はさらに安価になる場合があります。個室代、食事代などにより増減する可能性があります。

よくあるご質問(FAQ)

足のつけ根がふくらんでいるのは、必ず鼠径ヘルニアですか?

陰嚢水腫・精巣疾患など他の病気の可能性もありますが、最も多いのが鼠径ヘルニアです。一度外科外来を受診ください。

陰嚢が腫れているように見えるのですが?

鼠径ヘルニアで陰嚢まで腸が下りてくることがあります。早期の診断・治療が大切です。

手術は簡単にできますか?

手術や麻酔での侵襲やリスクはある程度存在しますが、手術自体は1−2時間程度で終えれるものであり、全国でも数多く施行されております。

高齢でも手術はできますか?

年齢よりも全身の状態を見て判断します。80代以上の方でも安全に手術できるよう配慮しています。