ボトックス治療

 ボツリヌス菌より産生されるボツリヌス毒素には、筋肉を麻痺させる作用があることが知られています。この作用を治療に応用したのがボトックスと呼ばれる薬です。

 緊張またはけいれんしている筋肉にごく少量投与すると、筋肉がゆるみ、けいれんを改善することが分かり、日本では1997年より利用可能となりました。ボトックスはタンパク質であるため、投与してもボツリヌス菌に感染することはありません。効果の持続は数か月間で、永続はしません。

 笹生病院脳神経外科では主に眼瞼けいれん、片側顔面けいれんに対して、ボトックス療法を行っております。

ボトックス治療の特徴

 ボトックスの効能期間は投与方法にもよりますが約3か月間です。効果を持続させるためには、3か月毎に投与が必要となります。

投与方法は皮下注射になります。27Gという細い針を用いて、けいれんしている部分に複数個所注射します。実際の所要時間は5分程度ですので、外来通院で行います。

 最も適した投与量には個人差があります。利き過ぎた場合、けいれんが止まるのみでなく、投与した筋に麻痺が生じることになります。これを避けるために初回は少ない量から始め、徐々に投与量を増やすのが一般的な方法です。

 当院ではまぶたがけいれんする「眼瞼痙攣」や、顔面がけいれんする「片側顔面けいれん」に対して、治療法の一つとしてボトックス治療を行っております。気になる症状があれば、まずは外来にてご相談ください。病状に応じて治療方法などについて専門医が詳しく説明いたします。