重要なお知らせ

Yさん(認知症看護認定看護師)

認知症の世界が解かれば自分の看護も大きく変わる、これを周りに伝えていきたい。

Yさん(認知症看護認定看護師)

私は看護師歴20年、当院では11年目です。4年前に認知症看護の認定看護師になりました。患者さんは高齢者の占める割合が高いので、診断前とはいえ認知症的な側面をもつ方が多く、勤務先の病棟だけではなく、病院全体に関わることが多くなりました。
認定を取得後、「これまでの自分の看護は間違っていたのか」という気付きもたくさんありました。かつての自分は患者さんの症状だけを見ていましたが、認知症の方も一人の「ひと」として見ることが大事なのです。「ひと対ひと」の関わりがとても重要と感じることができました。

自分は実践できても、周りへ伝えるのは思いのほか大変です。

「まるで昔の自分を見ているようだ」と思うこともたくさんあり、直すべきところもよく解るようになりました。
例えば、夜勤中に寝ない患者さんがいたとき、それは自分の関わり方のせいで寝ない人も居たのだと気付きました。認知症の方は、こちらが伝えたいことを解ってもらうのではなく、一瞬でも安心してもらえたら気持ちが落ち着くのです。
それから「帰りたい」と訴える患者さんには、なぜ帰りたい? 帰って何をする? など、その人の世界に入っていくことで落ち着くこともあります。この場合、普通に考えたら「今は帰れないの」と相手を否定してしまうことになりますが、こちらの対応が正しければ、患者さんは心を開いてくれます。「自分のことを解ってくれる人がいる」ということ、あなたを一人の人として受け入れていることを伝えられれば、それは患者さんにも伝わって行動に現れるのだということが解りました。

認知症は今後、医療者だけではなく、地域の人、市民の人がもっと理解するべきだと考えています。

そうすれば、もっと認知症の人は落ち着いて、住みやすい社会になるのではないでしょうか。こうしたことを、誰かに伝えるのはとても難しい、特に看護師に伝えるのが一番難しい。場合によっては、その人の看護が間違っていることを、指摘することにもなってしまうからです。

現在、私はリハビリ病棟で主任として働いています。

今後は当院の中でも、「精神的な問題はこの人に聞こう!」となれば良いのですが、まだまだそこまでの域には達していないかな。それはもしかすると、ここが急性期の病院だから、という面もあるのかもしれません。ただ、同じ系列の施設である老健と訪問看護の施設では、職員向けの事例検討を行ったりもします。
今後は、まずは看護師に認知症の方の世界を理解して頂き、次のステップとして市民講座などで認知症サポート養成講座などもできたら良いなと思っています。最初のステップは、院内で「認知症ケア」が根付くこと、そうしたら次はこの地域の人がもっと温かくなって、認知症の人が住みやすい社会が作っていけたらと考えています。

でもキホンは、自分が楽しく働きながら、です。今はまだ当院の認定看護師は少ないですが、これからもっと学びたい人が増えていけば良いなと思います。